恩田 陸
恩田陸は作風が非常に幅広い作家さんです。本格ミステリーから青春小説、ファンタジー(ファンタジーと一括りにしてしまって良いものか迷うところですが)、ホラー、喜劇小説と、同じ作者とは思えないような小説が著作に並んでいます。「6番目の小夜子」「夜のピクニック」辺りは有名なのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
Wikipediaの作品リストを見ると本当に多作で、どれから読むか迷ってしまいそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/恩田陸#作品リスト
私が小学生の頃から執筆されていて、小学生〜20歳頃の間に一番多く作品を読んだと記憶しています。恩田陸独特の哀愁の漂う文章は、思春期の多感だった頃の私に大きな影響を与えたと思います。内容については曖昧にしか覚えていないものもありますが、特に好きな作品を一言ずつ感想を添えて紹介したいと思います。
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『6番目の小夜子』
著者処女作。処女作とは思えないクオリティで綴られるホラーチックな青春物語。読後の謎が解明されないが故のモヤモヤ感は、この後の恩田陸作品にも引き継がれている。読者が考える余白があるのが、恩田陸の多くの作品に通じる良さだと思います。
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『ネバーランド』
進学校の男子寮が舞台。少ない登場人物、閉じられた世界で、次々と明かされる個々の事情や秘密。友情と成長の物語ですが、読後のカタルシスがすごい。
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『麦の海に沈む果実』
『三月は深き紅の淵を』の一端を構成する本作。ですが、純粋に一つの物語としても読みやすい。主人公のリセが好きだったな。
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『黄昏の百合の骨』
『麦の海に沈む果実』の続編。リセはその後、大人びた少女に成長しています。ミステリーとしては『麦の海に沈む果実』よりもおもしろいかな。こちらでもリセの成長が見られて良いです。個人的にはリセの叔父も好き。
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『ドミノ』
様々な人々が交差する喜劇小説。まるでドミノのように一人の行動が次の一人に繋がっていく。リズミカルで楽しい物語です。ドミノⅡが現在雑誌で連載中のため、早く書籍化して欲しいところです。
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『黒と茶の幻想』
大人版夜のピクニックとも言われる本作。美しい謎の探求のために男女4人が旅行を計画する。過去の謎をめぐる会話の中で広がっていく濃密な時間。恩田陸の真骨頂とも言える作風だと思います。いまだに時たま読み返します。こちらも『三月は深き紅の淵を』の一端。
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『ロミオとロミオは永遠に』
子供たちの冒険物語。軽い冒険モノではけしてないのですが…。一言で表現するには重い内容。
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『蛇行する川のほとり』
少女たちの謎解き。夏のひとときの出来事で、切ない哀愁漂う読後感にほぅ、と感嘆してしまいます。
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『夜のピクニック』
100キロマラソンという高校の行事を舞台に、一昼夜のうちに繰り広げられる群像劇。内容は爽やかな青春小説です。恩田陸の作品には珍しく、読後は爽快感があります。
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『蜜蜂と遠雷』
2017年に、本屋大賞と直木賞をWで受賞した作品ですね。なんと史上初だそう。タイトル受賞作だけあって爽快な読み心地。あまり活字が得意でないという方にも是非お勧めしたい作品です。
映画化もされていますよ。
https://mitsubachi-enrai-movie.jp